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犬と猫の‘てんかん’について

endovet
9月12日
読了時間: 5分

人と同様に、犬や猫も様々な原因で発作を起こします。

その中でも脳疾患に由来する発作のことを「てんかん発作」と呼びます。

通常、てんかん発作は脳ニューロンの、異常に・過剰な電気活動により起こる発作であり、非誘発性(平たくいうと、勝手に起こって勝手に止まる)であると定義づけされています。しかし、興味深いことに、中には特定の事象がトリガーになっておこる発作(反射性てんかん・反射性発作)も報告されています。

例えば、「玄関のチャイム、テレビのリモコンのスイッチオン、動物病院受診、トリミング、金属音のような高い音、光の点滅」など…

これらはある意味、誘発性の発作ではありますが、脳が原因であるため、てんかん発作の一種とされています。

てんかんは原因によって、「特発性てんかん」と「構造的てんかん」に分けられます。

てんかんの原因を特定するためには、神経学的検査、血液検査、MRI検査や脳脊髄液検査などを行う必要があります。

 

特発性てんかん

脳波以外の検査では異常が見つからないてんかんで、血液検査や尿検査、MRI検査、脳脊髄液検査では異常ありません。

原因遺伝性が特定されているものもありますが、多くは原因不明です。

初めて発作を起こした年齢が一般的には6ヶ月齢以上〜6歳齢以下の間とされています。


構造的てんかん(症候性てんかん)

脳に構造的・器質的な異常があり引き起こされるてんかんで、MRI検査や脳脊髄液検査で異常が見つかります。

奇形や脳炎だと比較的若齢から中年齢で、腫瘍や脳梗塞が原因の場合は高齢で初めて発作を起こすことが多いです。

先天性奇形 …水頭症、頭蓋内くも膜嚢胞、滑脳症など

炎症、感染 …起源不明の髄膜脳脊髄炎(MUO)、感染性脳炎など

脳血管障害 …脳梗塞、脳出血など

脳腫瘍   …髄膜腫、グリオーマなど

外傷    …頭部外傷


反応性発作

てんかん発作とは違い、脳以外の異常で起きる発作のことを呼びます。

何らかの中毒、低血糖、低酸素、肝性脳症、腎性脳症(尿毒症)、低Ca血症、甲状腺機能低下症などが挙げられます。

これらは原因が治療・除去されれば発作も基本的に落ち着きますが、無治療で反応性発作を長期間繰り返すと、いつしか脳に発作を起こす回路が形成されてしまい、原因が除去されても後遺症として発作だけが残ることも稀にあります。

 

失神などの似た症状との鑑別が重要

よく混同される症状として、失神があげられます。

失神とは、「脳の急激な血流低下による一過性の意識消失」であり、こちらも突然意識が消失するため、てんかん発作と混同されることがあります。

ただし、失神の原因はてんかん発作とは全く異なり、治療法はもちろん、進めていく検査内容も全く異なるため、しっかりと鑑別することが大事です。

見分け方としては、

  • 失神は短時間で回復も速やか。

    回復後はすぐにいつも通りでケロッとしている。

    対して、てんかん発作は意識が戻るまでの時間が比較的長く、興奮状態や傾眠状態などを経て徐々に戻ってくる。

  • 失禁や流涎を伴う場合はてんかん発作の可能性が高い。

など、見分けるポイントはいくつかありますが、慣れていないと難しいですし、専門医でも判断が難しい症例もいます。

また、失神以外にも、特発性頭部振戦症候群、特発性全身性振戦症候群、発作性ジスキネジアなど、似た様な症状を認める疾患は多く存在し、かなりややこしいです。

なので、大きい発作から、何かいつもと違うよなって思う様な小さい気づきがあれば、(基本的には自然におさまるので)慌てずに動画撮影をするようにしましょう。

診察時に見せていただくことで、これはてんかん発作あるいは他の疾患なのか、またてんかん発作であればどのタイプであるのかが判断しやすく、診察もスムーズになります。

 

抗てんかん薬の開始時期

発作が起こると、脳損傷が起きるだけでなく、その他の内臓にもダメージを与えます。

また治療せずに放置してしまうことで、てんかんがよりさらに重症化・難治化(薬が効きにくくなる)してしまうこともあります。

下記に該当する場合は、抗てんかん薬の服用が望ましいです。

  • “6ヶ月に2回以上”てんかん発作を起こす

  • 1度でも重篤な発作を起こしてしまった

  • 発作後の徴候(攻撃性や失明など)が特に重篤あるいは24時間以上続く

  • 構造的てんかんが明らかな場合

 

なお、抗てんかん薬を開始したら、通常は生涯継続します。

発作がなくなったからといって急に投薬を中止したり、決まった減量方法以上に減らしてしまうと、逆に重篤なてんかん発作を起こすことがあるため厳禁です。

ご自身での判断はせずに担当医にご相談下さい。


抗てんかん薬による治療目標

人のてんかんの治療目的は発作をゼロにすることですが、犬・猫では治療開始前の発作頻度から50%以上の減少を目標とし、必ずしも発作をゼロにすることではありません。

薬の副作用や限度とのバランスを取りながら、発作の回数・1回の重症度をできるだけ抑えることが目的です。

(例:月に4回の意識消失を伴うてんかん発作→月に1回で意識消失を伴わない発作)

 

いろいろ伝えたいことがあり文が長くなってしまいましたので、発作が起きてしまった時の対応等は次回の投稿でお話しします💦

 

遠藤蓮太郎

 
 
 

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